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2月18日

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いつも私の展示を観に来てくださるかたから頂いた花にさだまさしさんのアルバム「予感」が入っていました。

普段主にクラシックを聴く私は、音楽にあまり歌詞の内容を求めず、音色の流れの深さと美しさを重要視しているところもあるせいか(失礼)

さださんの歌を積極的に聴くことはあまりありません。

しかし、この「予感」はツボにはまりました。いまだ歌というより琵琶法師のような語り部の言葉を聴く感じではあるのですが。

東日本大震災と原発事故からいまだ回復できない今の日本の世情にあって響くように感じるのです。

 

大ざっぱな分析をさせていただくと、伴奏は、ほぼギター1本のシンプルな編曲ながら、(渡辺俊幸さんの)アレンジが

おそらくとてもいいのでしょう、アルバムの流れを作るとともに各曲それぞれの個性がシンプルに生かされています。

さださんの曲には情感的な曲と説教くさい曲の2つがあるように思うのですが、このアルバムでは、その2つのバランスが良く、

情感的な曲の歌詞では言葉の表現が良く選ばれて、(しばしばある)クサイと感じる言葉はなく、

また、説教くさい曲もうまく寓話化してあったり、曲想で遊び心を加えて深刻すぎないように工夫してあったりしてココロにスッと入ってきます。

 

「その橋を渡る時」では、石橋を叩いて渡らない私には耳の痛いところもあり、

「思い出暮らし」では、現実の厳しさについ「あの頃はよかった」といいたくなる私達の心情をよく衝いています。

「私は犬に叱られた」では、先日購入した福島で取り残された動物たちの写真集「のこされた動物たち」を思い出しました。

野良猫からでさえ、厳しい野生で生きる動物から学ぶことは多いと思う近頃の私のツボに入ったようです。

そしてもちろん批判ばかりではなく「茨にもきっと花咲く」では、これから未来を生きようとする人へのエールとして素直に聴けます。

 

私が年をとっただけかもしれませんが、このアルバムで私の中のさだまさしさんという存在が大きくなったのは間違いありません。